2010.夏 山行日記  白馬岳から白馬大池へ

8月2日
ひさびさに、8月2日〜3日の日程で、まゆみと二人、猿倉〜白馬岳〜白馬大池〜栂池のルートで山に入ることにした。
8月2日早朝、猿倉で登山計画書を提出し、アドバイスをいただき、保険に入り、体操をして歩き始めた。  冷たい空気の中、ゆっくりゆっくり歩を進める。
白馬尻でお湯を沸かし、ミソ汁とおにぎりで朝食をとった。天候はまあまあで大雪渓や岩肌が上の方まで見える。  大雪渓上では、なるべく休まず、落石を気にして上部を見ながら、一歩一歩登っていった。

大雪渓からはずれホッとして小休止をとる。 ネブカ平を過ぎて、昨年秋に完成した避難小屋前でお昼にした。小雪渓部は昨日から秋道を通るようにしたらしい。  いろいろな花が咲きみだれる、お花畑をすぎると村営の小屋が見えてきた。見えてからもけっこう時間がかかる。 ふり返れば雲間から杓子岳、白馬鑓ヶ岳が姿をあらわした。その右下には唐松岳への登山道が見える。
子供達が小学生の頃、天狗の大下りから不帰のキレットを通って唐松へ行ったことを思い出す。上の子は身軽にヒョイヒョイと登って行くが、下の子は慎重に足場を確認して一歩一歩登っていったものだ。

午後2時、無事に村営宿舎に到着。はーいお疲れさんでした。少し休んで・・・・、何はともあれ、生ビールで乾ーー杯。 リュックに入れてきたキュウリをかじりながらグビ〜〜〜。どこに入ったかわからないくらいに干してしまった。 フロントでチェックインして部屋に入ると、トップシーズンなのにとても空いていた。 白馬館の経営する小屋は頂上に近く、展望もいいのでけっこう混んでいる様だ。 少しして稜線まで散歩に行ってみることにした。 小屋の裏には広いテントサイトがあり、40張ほどのテントが張られている。あと15張ほどは張れる様だ。稜線にでると冨山側もよく見えて、旭岳から欅平にむかう道が見える。欅平までは、とてつもなく長い道のりだぞ。 南には杓子から鑓にむかう道がつづき北へは白馬館の異様に大きな小屋から白馬岳山頂へつづく道が見えた。
好天がつづく頃に、ここにテントを張り、そこをベースにして2〜3日ゆっくりするのもいいなー、なんて思ったりした。
小屋にもどり、5時から夕食をいただき、そのあとガスコンロを持って外に出て、景色をながめながらのコーヒータイム。 8時には床に着いたが、何かぐっすり寝れなかった。
8月3日
朝4時すぎには起きて、洗面、パッキング、かたづけをし、5時から朝食をいただいて、5時40分ころには白馬岳山頂にむけて出発した。 天気予報は曇りから霧だったがまあまあ晴れていて良かった。
40分ほどで山頂に着いた。けっこう多くの人が写真を撮ったり、周囲を眺めたりしていた。昔、強力が必死で担ぎ上げた石が静かに座っていた。
雲間からはるか遠くに槍や剱岳が見える。
少し休んで三国境に向けて出発した。少し行くと眼下に登山道から三国境がくっきり見えた。左の道をたどると、その先には雪倉岳が静かに存在感を表している。  何年か前に新井さん辻村くんが春スキーで登った山だ。私もだいぶ前に春スキーで登ったが、もう少しで頂上とゆう所で折り返した。

右の道をたどると、小蓮華山への道がはっきりつづいている。
歩きやすい尾根道なのでゆっくり歩いて行く。 道を少しはづれたガレ場にコマクサが一面に咲いており、ピンク色に染まっている。  
ほどなく小蓮華山に着いた。休んでいると大池方面からも登ってくる人がいる。 しばらく進むと、尾根道のかなたに満々と水をたたえた大きな池が見えてきた。白馬大池だ。 そのはるか彼方に雨飾だろうか、雲間にかすんで見える。  尾根道から右下に眼をやれば岩岳山頂、松川のむこうに白馬村が見える。 ふりかえれば白馬岳と杓子岳の間、はるか遠くに剱岳を小さく望む事が出来た。  すこし先に進むと、これらの岳ともお別れである。
このあたりまで来ると、行きかう登山者も少なくなる。  右下には栂池自然園の全体が眼に入ってきた。上から見るのは初めてだが、とても広大なスペースである。  大池がだんだん大きくなり、赤い屋根の大池山荘も見えてきた。 ハイマツ帯にうもれる様に降りてゆく。  大池から登ってくるパーティーもあり、「これから白馬岳まで行くのはきつそうだな」 などと思いながらすれ違った。小屋の手前に蓮華温泉への分岐があり、蓮華から3時間かけて登ってきたとゆう人は上のほうをめざして登っていった。

 大池山荘に着き、昼食にする。 今日はスープと白馬岳村営宿舎からいただいてきたお弁当をひろげた。 ウナギののっている弁当でびっくりした。山でウナギを食べるのは初めてである。
大池の小屋の前にはテントサイトもある。 長く休んで白馬乗鞍岳へむけて岩のゴロゴロしている大池のフチを歩いて行く。 途中、道の真ん中で、ライチョウが砂あびをしていた。我々に気づいて行く先に向けてトコトコ歩いていく。道先案内のようである。  頂上には大きなケルンがありだだ広い頂上付近で良い目標になる。  このあたりで空も暗くなってきて、今までガマンしていた雨がポツポツあたるようになってきた。
濡れてしまう前に早目にカッパを着ることにした。 春スキーでは、よく滑った乗鞍の大斜面も雪の無い時は大きな岩がゴロゴロしていて、その間を四足でゆっくり進む。
天狗原に着くまでの間、少しの雪渓もあるが、他はすべて岩場である。
この斜面を下るのにえらく苦労した。 「こんなに長かったかなー・・・、スキーだと5分でくだってしまうのになあ」 と思いながら、やっと天狗原である。
無事にここまで下ってこれてホッとひと休み。
そういえば、「息子が保育園で私が保護者会の役員をやっていた時、遠足でここまで来たっけなあ」 とふと思い出した。
ここから栂池自然園までの道をひたすら下って行く。  自然園の入り口に着くと、ロープウエイで登ってきた人々がわんさかいた。
 
 早朝から歩きだして、今、午後3時すぎ、まゆみも私もよく歩いた。
ケガもなく、少し雨に降られたが天気も良く、無事に降りてこられて、よかったよかった。
 ここで泥だらけの靴を洗い、まゆみは着替えて、ロープウエイ、ゴンドラで栂池の麓まで降りて来て、ちょうど乗り合いバスに間に合ったので、それで岩岳まで帰ってきた。 白馬にきて40年、はじめて乗り合いバスに乗った。
「やまびこ」に着いて、休む間もなく二人で猿倉へ車を取りに行った。
 無事に帰着して、二人でささやかにカンパーーイ。
「よく歩いたね〜」と言いながら反省会。

 若い頃はよく山に行き、自然の中が好きで白馬に住んでいるので、これからも無理のない行程で山に入りたいと思う。
ここちよい疲労感の中、いつもの床についた。

2010.08.13.
                                    宮脇 敏彦